【シンガポール転職】就労ビザで働く場合のシンガポールの社会保険について
以前の記事でシンガポールの納税についてお伝えした中で、シンガポールの就労ビザで働く場合、社会保険料を払う必要はないとお伝えしました。
海外転職を考える上で、お給料も大事ですが、それ以外の社会保障も気になりますよね。病気になった時、健康保険がなかったら、実費で病院のお金を払うのかどうか、不安に思うと思います。
日本では会社に勤めていると自動的に年金を払っていますが、シンガポールでも年金を払わないといけないのかどうか、知っておきたい気持ちもあるかと思います。
シンガポールで住んでいる人、働いている人はどうやって安心して暮らしているのか、お伝えしていきます。
日本の社会保険制度について
日本では会社に所属する人は主に5つの主な構成要素において、保険料を支払い、恩恵を受けることができます。
・健康保険:病気やけがの治療費を一部負担で受けられる制度
・厚生年金保険・国民年金: 老後の生活を支える年金制度
・介護保険:40歳以上が加入対象、要介護認定を受けると、訪問介護や施設サービスが利用可能
・雇用保険:失業時や育児休業中に給付金を受け取れる
・労災保険:業務中や通勤中の事故・病気に対して給付、保険料は全額事業主負担
この制度は「国民皆保険・皆年金」を実現しており、すべての国民が何らかの社会保険に加入する義務があります。
これは国民だけでなく、就労ビザをもっている人も適用です。そのため、日本で会社に所属している人は全員社会保険料を支払う義務があります。
シンガポールの社会保険制度について
シンガポールの社会保険制度は、積立型の制度が中心です。
そして、日本と大きく異なるところはシンガポールでは国民皆保険・年金制度がないので、この社会保険料の支払いはシンガポール国民と永住権保持者のみです。
そのため、シンガポール転職する方は基本的には永住権を持っておらず、就労ビザなので、社会保険料を払う必要がありません。
参考までにシンガポールの社会保険制度を以下にご紹介します。
CPF(Central Provident Fund:中央積立基金)
雇用主と従業員が給与から一定割合を積み立てます。雇用主(会社)と従業員がそれぞれお金を出すところは日本と一緒ですが、大きな違いはシンガポールの場合、個人がCPF(中央積立基金)の口座を持ち、積み立てたお金は個人の口座に入り、積み立てたお金は個人のみが使用することができます。そのため、CPF口座を確認すれば自分がどれだけお金を積み立てているのか明確で、特に老後に必要な資金(年金)をそこから賄うという点では、老後の計画が立てやすいです。
さらにCPF口座のお金はシンガポール政府が運用してくれているようで、年に3~5%の運用実績があるようです。
積立金は以下の3つの口座に分配されます:
・Ordinary Account(OA):住宅購入、教育費など
・Special Account(SA):老後資金
・ Medisave Account(MA):医療費
日本人の場合、永住権を取得後は加入義務が生じるので、CPFを支払う必要があります。シンガポールは日本と違い、確定申告制なので、CPFへの支払い分も全てお給料に含まれるので、永住権取得後はCPFの支払い分を考慮する必要があります。
シンガポールの就労ビザで働く人の医療費と年金について
日本では会社に所属している人全員が社会保障制度に自動的に入れる仕組みですが、シンガポールでは就労ビザを持っている方はシンガポールの社会保険料を払う必要はありませんが、同時に社会保障の恩恵を受けることができません。
年金は20代、30代、40代の方にはまだ遠い未来に受け取るものなので、日常に影響はなく、将来に不安があれば、月々貯金をしたり、貯めたお金で投資することで将来に備えることが出来るので問題はないかと思います。
しかし、医療費においては違います。私たちは生きている以上、病気や怪我をすることがあります。必要な時に病院に行って、治療を受ける必要があります。
日本では皆保険制度があるので、健康保険証を持っていれば、3割負担で治療を受けることができます。しかし、シンガポールの就労ビザで働く人は国が保障してくれる健康保険はありません。
そして、シンガポールの医療費は日本と比べて高いので、毎回全額負担をしていたら、積み重なると大きな負担になります。
では就労ビザを持っている人の医療費の負担はどうなっているのでしょうか。
多くの企業では会社が民間の保険会社と契約して、会社の福利厚生の一つとして、医療保険を提供している場合が多くあります。
シンガポールで代表的な民間の保険会社
シンガポールで代表的な民間の保険会社 |
Integrated Health Plans (IHP) |
MHC Asia Group |
Alliance Healthcare |
Fullerton Health |
NTUC Income |
Manulife Singapore |
AIA Singapore |
(上記は一例です。全ての保険会社をカバーしている訳ではありません。)
私の所属している会社ではIHP社の保険会社と契約しているので、私が病院に行く時にはIHPの健康保険証をクリニックで提示するので医療費を抑えることができています。
重要なことは、シンガポールにて就労ビザで働く場合、転職先の企業が民間の保険会社と契約して、会社の福利厚生として、医療保険を提供しているか確認する必要があります。
医療保険の有無は転職先を選ぶ上で大変重要になります。
以上、シンガポールの社会保障についてでした。
この内容が少しでも皆さんがシンガポールに転職を考える際のお役に立てたら嬉しいです。