シンガポールで味わう超人気マーラータン店
2025年現在、日本でも「麻辣湯/マーラータン」は「ちょっと辛くて刺激的な一人鍋・スープ料理」として注目を集め始めています。テレビやSNSで最近見る機会が増えたと感じる今日この頃です。東京など都心部を中心に、マーラータン専門店や中国発ブランドの進出例があるようで、チェーン点としては杨国福麻辣烫(Yang Guo Fu Malatang)が進出しているようで、シンガポールで馴染みのあるお店なので、うれしく思います。
私はシンガポールに来るまで、マーラータンを知らなかったのですが、野菜不足を補え、その日の気分で具材やスープを変えられるので、今では1週間に一度は食べないと気が済まないくらいマーラータンが好きになってしまいました。
実はシンガポールには、日本にはほとんど上陸していない“マーラータン(麻辣烫)”の店が進出しています。今回はそもそも「マーラータン」とは何か、良く似た名前の「マーラーシャンゴン(麻辣香鍋)」との違い、そして注目の人気チェーンの Zhang Liang(张亮/Zhangliang Malatang) について詳しく解説します。
マーラータンとは何か
“麻辣烫”(拼音:málàtàng)とは、ご存じの方も多いかと思いますが、中国発祥の鍋料理です。日本ではあまり馴染みのない字面ですが、「麻(しびれ)+辣(辛さ)+烫(スープ)」を意味します。つまり、山椒の “しびれ” と唐辛子の “辛さ” を効かせ、熱いスープで食材を煮込む料理がマーラータンです。
起源・由来
マーラータンは中国の四川省や重慶あたりを発祥地とするストリートフードにルーツがあるようで、ある説によると、揚子江(長江)周辺の船運業者が寒さをしのぐために香辛料を加えた薬膳風スープを作ったのが始まりと伝えられています。屋台で湯を沸かし、客が串や具材を選び、茹でて提供する形式が定着し、徐々に中国各地に広まりました。
現在のマーラータンは、客が選んだ素材をスープで煮込み、スープと調味料で味付けするスタイルが主流です。
マーラーシャンゴンとマーラータンの違い
シンガポールに来て、始めにマーラーを食べるというと良く行ったのがスープの無い、ドライマーラー=「マーラーシャンゴン(麻辣香鍋/málà xiāngguō)」でした。これは直訳すれば「香りのある麻辣鍋」という意味ですが、実際はスープなしで具材を炒め合わせる「ドライ麻辣鍋」です。
マーラータン | マーラーシャンゴン(麻辣香鍋) | |
スープの有無 | スープあり。具材は辛味/痺れスープで煮る。 | スープ無し。具材を炒めて調味料・香辛料で味付け。 |
提供形態 | スープ料理、客は選んだ素材を茹でてもらう。 | 客が選んだ素材を炒め、味付けして提供。 |
味の表現 | スープの風味が重視。出汁・スープベースが重要。 | 香辛料や調味料の風味と素材の焼き目・食感も重視。 |
食べ方・用途 | スープを飲みながら素材を楽しむ。 | 具材の香ばしさや調味料の風味を主役にする。 |
マーラータンは「スープに入れて煮込む麻辣料理」、マーラーシャンゴンは「炒め版の麻辣料理」です。
シンガポールでのマーラー
シンガポールにおける辣・麻・スパイス系料理への関心は、ここ数年で急激に高まったようです。もともと中国で人気があったマーラータン、中国からシンガポールに移住した人の人気もあり、定着するのに時間を要しなかったようです。
飲食業界では、中国大手 F&B ブランドが国外展開を強めており、シンガポールには多くの中国発ブランドが進出しています。有名なチェーン店では、日本でも店舗が拡大している、杨国福麻辣烫(Yang Guo Fu Malatang)。シンガポールで、拡大中のチェーン店はZhang Liang(张亮 – チャンラン)があります。
シンガポールで人気のマーランタンチェーン店「Zhang Liang(张亮 – チャンラン」
Zhangliang(张亮麻辣烫)は、中国で2008年創業。世界中で 6,000 店舗以上 を展開している巨大チェーン点のようです。海外のみでは 100 店舗以上と謳われており、シンガポール・タイ・韓国など複数国に展開しているとされています。日本では今は1店舗しか展開していないようですが、シンガポールでは主にセントラルエリアで13店舗あるので、割と簡単に楽しむことができます。
特徴・強み
Zhang Liang (チャンラン)は日本人にもオススメで、出張や観光でシンガポールに来た同僚や友人にもオススメしています。

①具材の豊富さと選択肢の多様性
店によって異なりますが、麺は約 9 種類、葉物野菜は約 13 種類、キノコ類 6 種類、野菜 10〜15 種類、魚介 6〜8 種類、肉約 6 種類、加えて豆腐・海藻・練り物・揚げ物などを合わせると 100 種類前後の具材 が選べる楽しさがあります。

➁カスタマイズ
自分だけの具材を選べるため、パートナーや同僚、友人などの好みに気を使う必要がありません。がっつり食べたいときはお肉多めにしたり、野菜不足を補うために野菜主体にするも自由です。気分や体調に応じて内容を変えられるも◎。
③スープのバリエーション
Zhang Liang (チャンラン)では、基本のマーラータンをはじめ、7 種類のスープ と 3 種類のドライタイプ(ドライマーラー) が選べます。(店舗によってはメニューが少ないところもありますが、基本のマーラータン・トマトスープ・マッシュルームスープはあります)そして、Zhang Liang (チャンラン)ではマーラーシャンゴンとマーラータン、両方とも楽しめる点も◎。
メニュー | スープの有無 | ベジタリアン向け | 辛さ |
1.マーラータン | スープ有り | ✕ | 少々辛い |
2.トマトスープ | スープ有り | ✕ | 辛味無し |
3.マッシュルーム | スープ有り | 〇 | 辛味無し |
4.ドライマーラー | スープ無し | 〇 | 調整可能 |
注意:マーラータンとトマトスープには牛骨スープを使っているようですので、ベジタリアンメニューを希望の方はご注意ください。

④調味料(タレ・香料)ステーションの充実
Zhang Liang(チャンラン)では、18 種類の調味料・つけだれ を自由に組み合わせて味変できる点も良いです。具材をディップして食べてもよし、スープに溶かして味を変えてもよしなので、自分好みに楽しみたい方々に大人気です。
【オススメの組み合わせつけだれ・調味料】
さっぱりめの味(女性向け):酢+ごまペーストを 1:1 (ネギ少量+ごま油少々で香りづけ)
がっつり、パンチがある味(男性向け):ネギ+ニンニク+ごまペースト+ごまを 1:1:1:1 。
辛くしたい気分の時は唐辛子系を少々追加します。

⑤店舗環境・清潔さ
比較的きれいな店構えの店舗が多く、食材の鮮度にも配慮しているお店が多いです。今までシンガポール国内で5店舗に入店しましたが、全ての店内が清潔で食材も新鮮なものが多かったです。日本人として評価が高い点として、エプロンを常備してあるので、白い服を着ていても気兼ねなく入店できることも良いです。
⑥価格・重さ課金方式
シンガポールの一例では、具材は “100g あたり S$3.08”、最低量 300g からと最低料金があるので、具材が少な目の時は注意してください。その日の気分で多めにも少な目にもできるので、調整可能で良いです。

⑦言語
日本人は中華系に見えることもあるので、注文時は中国語で話されることもありますが、店員さんに英語で話しかけると英語で返してくれるので、安心です。
注文の仕方
- 席を確保する。(混んでいるときは重要!)
- 入口でプラスチックの入れ物とトングを取る。
- 好きな具材を選ぶ。
- 注文カウンターでスープを選んで注文。この時、ご飯の有無と店内で食べるか、テイクアウトか聞かれます。(テイクアウトの場合は容器包装代にSG$1がかかります。ちなみにシンガポールでTake awayと言います。)
- 会計を済ませるとブザーをもらいます。
- 待ち時間に好みのCondiment(つけだれ・調味料)を準備します。
- ブザーが鳴ったら取りにいきます。

最後に
Zhang Liang(チャンラン) はシンガポールのマーラータンの代表格と言える存在で、シンガポールの中心地の大型モール内にお店を構えていることもあり、アクセスがしやすいです。具材の自由度、スープ/ドライの選択肢、タレでの味変、店内環境など、総合力が高く、特にオススメのお店です。
シンガポールでは、マーラータンは人気の食べ物なので、辛い物が好きな方やシンガポールの現代の食文化に興味がある方など、ぜひ一度試していただきたいと思います。気にいった方はぜひ、何度も足を運んでいろんなスープや好みのつけだれの組み合わせを見つけてみてください。